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モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」
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完全な現代劇化が凄い |
2006年のパリ・オペラ座公演のライブ(日本語字幕なし)。カンブルラン指揮、マルターラー演出。新しいだけでなく、感覚がとても新鮮だ。現代劇化『フィガロ』のDVDは、1990年のペーター・セラーズ演出があるが、本作は、『フィガロ』上演史を画する舞台の一つだろう。全く新しいコンセプトで作られており、場面は4幕とも戸籍役場(Standesamt / Etat civil)という設定。結婚届けの受理も結婚式も行う場所で、新婚のカップルが行き交い、ショーウィンドウにウェディングドレスが並ぶ。ガラス越しに見える空間の使い方が旨い。この同じ場所に、フィガロの新婚部屋、伯爵夫人の寝室、伯爵の居間、夜の密会のすべての物語が自然に流れる。
人物はすべて現代人。伯爵(ペーテル・マッティ)は高級パイロットか何からしいイケメン。ケルビーノ役はヨーロッパを代表するソプラノの一人クリスティーネ・シェーファーだが、驚いたことに、あの短髪をさらに刈り込み、Tシャツにズボン姿の「まったく普通の男の子」。伯爵夫人にズボンを脱がされ、下着は見せるし、胸を布で強く巻いてあのケルビーノのアリアを歌うのだから、もうびっくり。全体に人物の動き方が斬新で、踊りのパフォーマンスが横溢。第1幕、スザンナとケルビーノは、伯爵夫人のリボンではなくパンストで戯れ、第3幕冒頭、スザンナと伯爵はタンゴ風にセクシーに踊りながら引っ掛け合う。そして第4幕、マルチェリーナはスポットライトを浴びてアリアを歌い、バジリオはカラオケ風にマイクにしがみつく。しばしばここをカットする演出への皮肉だ。これだけ激しく動きながら歌う歌手たちに拍手、拍手。

